産業廃棄物の積替え保管施設を設ける前に確認すべきこと
2026年10月24日 11:58
産業廃棄物収集運搬業を営む事業者の中には、業務の効率化や運搬コストの削減を目的として、積替え保管施設の設置を検討される方もいらっしゃると思います。
しかし、積替え保管施設は、単に土地を確保して産業廃棄物を一時的に保管できる場所を設ければよいというものではありません。
廃棄物処理法に基づく許可だけでなく、土地利用に関する法令や自治体の条例など、複数の規制が関係する場合があります。
特に注意したいのは、土地を購入したり、施設の整備を始めたりする前に、必要な手続を確認しておくことです。
今回は、産業廃棄物の積替え保管施設を新たに設置する場合に、事前に確認しておきたい事項を解説します。
1.積替え保管施設とは
産業廃棄物の積替え保管とは、収集した産業廃棄物を運搬の途中で別の車両などに積み替えたり、次の運搬まで一時的に保管したりすることをいいます。
例えば、複数の排出事業場から小型車両で収集した産業廃棄物を一か所に集め、大型車両に積み替えて処分施設まで運搬する場合などが考えられます。
このような仕組みを設けることで、運搬の効率化が期待できます。
一方、収集運搬業者が積替え保管を行う場合には、原則として、その行為を含む産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
既に積替え保管を含まない収集運搬業の許可を取得している事業者であっても、その許可だけで新たに積替え保管を始められるわけではありません。
事業範囲の変更許可など、必要な手続を確認する必要があります。
2.予定地で施設を設置できるか
積替え保管施設の設置を検討する際、最初に確認したいのが土地の利用規制です。
廃棄物処理法上の許可を取得できる見込みがあったとしても、それだけで予定地に施設を設置できるとは限りません。
例えば、次のような法令が関係する可能性があります。
都市計画法
予定地が市街化調整区域に所在する場合には、建築物の建築や土地の区画形質の変更を伴う計画について、開発許可などの要否を確認する必要があります。
また、市街化区域などであっても、用途地域による建築物の用途制限に注意が必要です。
農地法
予定地が農地である場合、積替え保管施設として利用するためには、農地転用許可などの手続が必要になることがあります。
農地の区分や周辺の土地利用状況によっては、転用が認められない場合もあります。
その他の土地利用規制
計画地の状況によっては、森林法、盛土規制法、建築基準法、消防法、自治体の条例などについても確認が必要です。
このように、積替え保管施設の設置は、廃棄物処理法だけで判断できるものではありません。
土地の取得や施設整備に着手する前に、予定地で計画を実現できるかを確認することが重要です。
3.保管する産業廃棄物の種類と施設の構造
積替え保管施設では、取り扱う産業廃棄物の種類や性状によって、必要となる設備や管理方法が異なります。
例えば、廃プラスチック類、木くず、汚泥などでは、飛散、流出、悪臭、地下浸透などについて考慮すべき事項が異なります。
廃棄物処理法では、積替え保管施設について、産業廃棄物の飛散、流出、地下浸透、悪臭の発散を防止するために必要な措置を講じることなどが求められています。
また、保管基準に従い、保管場所の囲い、掲示板、保管数量や積み上げる高さなどについても検討する必要があります。
したがって、施設を計画する段階で、少なくとも次の事項を整理しておくことが重要です。
取り扱う産業廃棄物の種類と性状
一日当たりの搬入量と搬出量
保管する数量と保管期間
保管場所の面積と配置
使用する車両や搬入・搬出経路
飛散、流出、悪臭などを防止するための設備
なお、積替え保管と、破砕・焼却などの処分行為は区別して考える必要があります。
施設内で予定する作業の内容によっては、収集運搬業の許可だけでは対応できない場合があります。
4.自治体の事前手続を確認する
積替え保管施設の設置では、廃棄物処理法に基づく許可申請のほかに、自治体の条例や指導要綱などに基づく事前手続が必要になる場合があります。
例えば、鳥取県では、廃棄物処理施設の設置に関する条例により、積替え保管を含む産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請などに先立ち、周辺住民との合意形成を促す手続が定められています。
また、岡山県でも、積替え保管を含む産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請などについて、県の指導要綱に基づく事前協議が必要とされています。
このような手続は、通常の収集運搬業許可申請とは異なる準備を必要とすることがあります。
島根県についても、計画地を管轄する行政機関に、適用される条例・要綱や事前協議の要否を確認することが重要です。
なお、同じ県内であっても、施設の所在地によって担当行政機関や適用される手続が異なる場合があります。
そのため、許可申請書の作成に取りかかる前に、計画地を管轄する行政機関へ相談することが望ましいでしょう。
5.周辺環境への影響も考える
積替え保管施設は、周辺の生活環境への配慮も欠かせません。
例えば、施設への搬入・搬出に伴う車両の通行、騒音、振動、粉じん、悪臭などが問題になることがあります。
また、予定地の周辺に住宅や農地がある場合には、施設の配置や運営方法について、より慎重な検討が必要になることもあります。
法令や条例に基づく手続を確認することはもちろんですが、事業を継続的に運営するためには、周辺環境にどのような影響が生じる可能性があるのかを、計画段階で把握しておくことが大切です。
6.まとめ ― 土地を決める前の調査が重要
産業廃棄物の積替え保管施設を設置する際には、収集運搬業の許可だけでなく、土地利用規制、施設の構造基準、自治体の事前手続、周辺環境への配慮など、さまざまな事項を検討する必要があります。
特に注意したいのは、施設を設置する土地を先に決めてしまうことです。
土地を購入した後に、農地転用が認められないことや、都市計画法上の制限によって予定していた施設を設置できないことが判明すれば、事業計画の大幅な見直しが必要になる可能性があります。
そのため、積替え保管施設の設置を検討する際には、土地の選定段階から関係法令を確認し、必要な許認可や手続を整理することが重要です。
当事務所では、鳥取県・島根県・岡山県を対象に、産業廃棄物収集運搬業の許可手続のほか、農地転用や開発許可など、土地利用に関係する行政手続についてもご相談を承っております。
産業廃棄物の積替え保管施設の設置をご検討の事業者様は、お気軽にお問い合わせください。